上野の森親子BF②川端誠氏講演会

《絵本とともに旅をして》

数年前のご講演と内容がかなり異なり、川端さんの器の大きさを感じました。核はぶれずに余白がたくさんと言えば良いでしょうか。この「遊び」の部分が川端さんのお人柄で、作品の面白さにつながっているのでしょう。

読み聞かせはもちろん、制作過程をたっぷりお見せいただきました。

『うえきばちです』(BL出版) の読み聞かせからスタート。

この作品の着眼点。川端さん自身はご存知なかったそうですが、万葉学者の著作で裏付けられた事実、古語は幼児語に残っているというお話をサラリと紹介してくださった。非常に興味深い!

「お化けシリーズ」(BL出版)について。

幽霊とお化けの違いを初めて知り、唸りました。本シリーズは日本の風土と日常を描き、事件は何も起きない、お化けの穏やかな一日なのです。

『お化けの海水浴』の読み聞かせの後、制作過程をスクリーンで解説してくださいました。例えば海の絵。最初のベタ塗りから波を表現するための過程や、海の中を表現するための薄い重ね塗りも、その足し算と、やり過ぎない絶妙な加減、川端さんの真面目さを感じました。

『十二支のお節料理』(BL出版) も制作過程を紹介。

これは版画作品であり、その細やかで膨大な過程を見せていただけたことは、貴重なこと。下絵から、トレーシングペーパーで転写したゴム版をデザインカッターでアウトラインを切り、不要な部分は彫刻刀で削る。絵だけでなく、文字までも!

驚いたのは、版画の方が楽なのだそう。それは版画には色見本があるから。絵は自分で色を作らなければならないので、この作業が最も大変なんだそうです。

楽しい作品の制作は、どの過程も手を抜かずに行われています。そしてその苦労を笑いを交えてお話してくださるお人柄。

素敵な講演会をありがとうございました。

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