金原瑞人氏講演会「翻訳の言葉、言葉の翻訳 -YA文学の魅力-」

今日は〈NPO法人 山梨子ども図書館 児童文学講座2018〉でした。
講師は金原瑞人さん。
盛りだくさんの内容で 上手くまとめられませんが一部を紹介します。

《翻訳家は裏切り者》
英語で書かれたものを 全く同じに日本語で伝えられるはずがない。
翻訳家の誰もが痛切に感じている。

《日本語の一人称の豊かさと翻訳の難しさ》
英語では一人称は〈I アイ〉となるが 日本語では〈私〉〈僕〉〈俺〉〈わし〉〈わたくし〉〈あたし〉など一般的なものから 個人名や登場人物等の固有名詞もあり 無限大。
であるから 誰をどの一人称で訳すのか悩む。
日本語を英語に訳すのも やはり難しい。

《縦書きの文と横書きの文》
日本は古来から縦書きを用いてきた。
しかし今 中国の文字文化の影響を受けた文化圏で 縦書きを使っているのは 日本と台湾のみ。
教科書ですら 国語と道徳だけが 縦書きである。
絵本も翻訳されることを見越して 横書きが主流。
文章の流れと絵の流れの歴史は 画像で紹介。

《YA文学の歴史》
子どもと大人だけの2層構造の文化に 若者の文化が加わり3層構造の文化に。
若者の時代はダサく 早く大人になりたかった。
 若者独自の感性がスタイリッシュになり確立したことで 若者文化も生まれた。
戦争や経済成長などの時代が それらを作っていった。
それ故に 歴史はまだ浅い。

休憩を挟まず ノンストップでのお話は 私たちを魅了し 楽しませてくださいました。
金原さんを翻訳家へと導いたのは 山梨出身の犬飼和雄先生。
感慨深げにそのエピソードもしてくださりました。

いつまでも若々しい金原さん。
学生に囲まれていること 新しい本をたくさん読み 読者に紹介してくださること。
何より 楽しんでお仕事をされていることが 若さの秘訣だと感じました。
絵本が子どもだけのものではなくなって とてと面白いものだと話されたのも印象的。
そして、楽しいお仕事は日本の古典の現代語訳だとおっしゃっていました。
ちょっと遠ざけていましたが 是非読まなくては!

今回は駆け足だったので またゆっくり違う切り口でお話を聞きたいと感じました。

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